電子回路 電源回路

J. 電源回路(Power Supplies & Regulators)

電源回路は電子回路全体に安定した電圧・電流を供給するための回路であり、 アナログ・デジタルを問わず最重要ブロックのひとつである。

主な種類:

本章では、 整流+平滑 → リニアレギュレータ → スイッチングレギュレータ → 保護回路・実務的注意 の流れで整理する。

J1. 整流+平滑の復習とリップル電圧

(1) 全波整流+平滑コンデンサ

トランスで電圧変換した AC をブリッジ整流し、 コンデンサで平滑すると「脈流 DC」が得られる。

(2) リップル電圧の近似

負荷電流を \(I_{\text{load}}\)、入力周波数を \(f\)(全波整流後のリップル周波数は 2f)、 平滑コンデンサを \(C\) とすると、リップル電圧は概ね \[ V_r \approx \frac{I_{\text{load}}}{2 f C} \] となる。

(3) コンデンサ値の設計目安

許容リップル電圧 \(\Delta V\) が与えられたとき、必要な容量は \[ C \approx \frac{I_{\text{load}}}{2 f \Delta V} \]

大容量コンデンサを用いればリップルは減るが、突入電流が増える点に注意。

J2. リニアレギュレータ(三端子レギュレータ)

(1) 三端子レギュレータとは

入力端子 \(V_{\text{in}}\)、出力端子 \(V_{\text{out}}\)、GND の 3 端子を持つ定電圧IC。

(2) 出力電圧(可変型)の例

LM317 の場合: \[ V_{\text{out}} \approx V_{\text{ref}} \left(1 + \frac{R_2}{R_1}\right) \] (ここで \(V_{\text{ref}} \approx 1.25\,\mathrm{V}\))

(3) ドロップアウト電圧

出力電圧 \(V_{\text{out}}\) を維持するために必要な最小の \((V_{\text{in}} - V_{\text{out}})\) をドロップアウト電圧と呼ぶ。

(4) 長所・短所

J3. スイッチングレギュレータの基礎

(1) スイッチング方式の概要

トランジスタ(MOSFET)を高速にオン・オフし、 インダクタ・ダイオード・コンデンサを組み合わせて平均電圧を制御する。

(2) 降圧型(Buck Converter)

理想的な連続導通モード(CCM)では、 デューティ比 \(D\) に対して \[ V_{\text{out}} = D \, V_{\text{in}} \]

(3) 昇圧型(Boost Converter)

CCM では \[ V_{\text{out}} = \frac{1}{1-D} V_{\text{in}} \]

(4) 昇降圧型(Buck-Boost)

\[ V_{\text{out}} = -\frac{D}{1-D} V_{\text{in}} \] (符号反転あり:負出力が得られる)

(5) 特徴

J4. 絶縁型スイッチング電源(Flyback など)

(1) 絶縁の必要性

AC100 V と二次側(低電圧側)を電気的に絶縁し、 安全性やノイズ耐性を確保するためにトランスを用いる。

(2) フライバックコンバータ(Flyback)

スイッチングトランスの一次側にエネルギーを蓄え、 オフ時に二次側へエネルギーを転送する方式。

(3) フォワード・ハーフブリッジ・フルブリッジなど

中〜大電力向けのトポロジ(詳細は電源設計の専門分野)。

J5. 電源効率と発熱

(1) 効率の定義

\[ \eta = \frac{P_{\text{out}}}{P_{\text{in}}} = \frac{V_{\text{out}} I_{\text{out}}}{P_{\text{in}}} \]

(2) リニアレギュレータの損失

\[ P_{\text{loss}} = (V_{\text{in}} - V_{\text{out}}) I_{\text{out}} \]

(3) 温度上昇の目安

熱抵抗 \(\theta_{\text{JA}}\) が分かっていれば、 \[ \Delta T \approx P_{\text{loss}} \cdot \theta_{\text{JA}} \] として素子の温度上昇を概算できる。

(4) スイッチング電源の効率

スイッチング損失・導通損失・ダイオード損失・コア損などを含めて 全体効率を 80〜90%以上になるよう設計する。

J6. 電源保護回路

(1) 過電流保護(OCP)

(2) 過電圧保護(OVP)

(3) サーマルシャットダウン(TSD)

レギュレータ IC 内部に温度検出回路を持ち、 チップ温度が閾値を超えると自動的に出力を停止する。

J7. 実務上の注意(デカップリング・GND・レイアウト)

(1) デカップリングコンデンサ

(2) GND 配線の考え方

(3) スイッチング電源のレイアウト

(4) インラッシュ電流への対策

電源回路は、単に「電圧が出ていればよい」のではなく、 ノイズ・効率・安全性・熱設計を含めて総合的に設計する必要がある。

参考URL

 

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