電源回路は電子回路全体に安定した電圧・電流を供給するための回路であり、 アナログ・デジタルを問わず最重要ブロックのひとつである。
主な種類:
本章では、 整流+平滑 → リニアレギュレータ → スイッチングレギュレータ → 保護回路・実務的注意 の流れで整理する。
トランスで電圧変換した AC をブリッジ整流し、 コンデンサで平滑すると「脈流 DC」が得られる。
負荷電流を \(I_{\text{load}}\)、入力周波数を \(f\)(全波整流後のリップル周波数は 2f)、 平滑コンデンサを \(C\) とすると、リップル電圧は概ね \[ V_r \approx \frac{I_{\text{load}}}{2 f C} \] となる。
許容リップル電圧 \(\Delta V\) が与えられたとき、必要な容量は \[ C \approx \frac{I_{\text{load}}}{2 f \Delta V} \]
大容量コンデンサを用いればリップルは減るが、突入電流が増える点に注意。
入力端子 \(V_{\text{in}}\)、出力端子 \(V_{\text{out}}\)、GND の 3 端子を持つ定電圧IC。
LM317 の場合: \[ V_{\text{out}} \approx V_{\text{ref}} \left(1 + \frac{R_2}{R_1}\right) \] (ここで \(V_{\text{ref}} \approx 1.25\,\mathrm{V}\))
出力電圧 \(V_{\text{out}}\) を維持するために必要な最小の \((V_{\text{in}} - V_{\text{out}})\) をドロップアウト電圧と呼ぶ。
トランジスタ(MOSFET)を高速にオン・オフし、 インダクタ・ダイオード・コンデンサを組み合わせて平均電圧を制御する。
理想的な連続導通モード(CCM)では、 デューティ比 \(D\) に対して \[ V_{\text{out}} = D \, V_{\text{in}} \]
CCM では \[ V_{\text{out}} = \frac{1}{1-D} V_{\text{in}} \]
\[ V_{\text{out}} = -\frac{D}{1-D} V_{\text{in}} \] (符号反転あり:負出力が得られる)
AC100 V と二次側(低電圧側)を電気的に絶縁し、 安全性やノイズ耐性を確保するためにトランスを用いる。
スイッチングトランスの一次側にエネルギーを蓄え、 オフ時に二次側へエネルギーを転送する方式。
中〜大電力向けのトポロジ(詳細は電源設計の専門分野)。
\[ \eta = \frac{P_{\text{out}}}{P_{\text{in}}} = \frac{V_{\text{out}} I_{\text{out}}}{P_{\text{in}}} \]
\[ P_{\text{loss}} = (V_{\text{in}} - V_{\text{out}}) I_{\text{out}} \]
熱抵抗 \(\theta_{\text{JA}}\) が分かっていれば、 \[ \Delta T \approx P_{\text{loss}} \cdot \theta_{\text{JA}} \] として素子の温度上昇を概算できる。
スイッチング損失・導通損失・ダイオード損失・コア損などを含めて 全体効率を 80〜90%以上になるよう設計する。
レギュレータ IC 内部に温度検出回路を持ち、 チップ温度が閾値を超えると自動的に出力を停止する。
電源回路は、単に「電圧が出ていればよい」のではなく、 ノイズ・効率・安全性・熱設計を含めて総合的に設計する必要がある。