センサは「物理量・化学量・生体量」を電気信号に変換する素子であり、 電子回路の入り口となる重要なブロックである。 本章では、電子回路の観点から センサの種類・特性・インターフェース回路を整理する。
本章の範囲:
センサ(Sensor)は、物理量 \(X\) (温度・圧力・変位・加速度・光・磁場・ガス濃度など)を 電気量(電圧・電流・抵抗・容量・周波数など)に変換する素子である。
多くのセンサは近似的に \[ y = S X + y_0 \] と表せる(一次近似)。
本章では主に「センサ+AFE(アナログ前段)」に焦点を当てる。 A/D 変換・通信などは別章で扱っているため、ここでは簡単な接続イメージにとどめる。
入力変化に対する出力変化: \[ S = \frac{\Delta y}{\Delta X} \] 単位例:\(\mathrm{mV/^\circ C},\ \mathrm{\Omega/^\circ C},\ \mathrm{V/MPa}\) など。
出力 \(y(X)\) が「理想直線」からどれだけずれるか。
多くの場合、フルスケールに対する最大偏差 [%FS] で表現される。
上昇過程と下降過程で、同じ入力 \(X\) に対して出力が異なる現象。 例:ロードセル・磁気センサなど。
出力の変化として識別可能な最小入力変化量。
センサ固有のノイズ+後段の ADC の分解能で決まる。
多くのセンサは、応答を一次遅れ系で近似できる: \[ \tau \frac{dy(t)}{dt} + y(t) = K X(t) \] ステップ入力 \(X(t)=X_0\) に対して、 \[ y(t) = K X_0 \left(1 - e^{-t/\tau}\right) \]
周波数応答で、ゲインが -3 dB となる周波数 \(\omega_c\) が一次系のカットオフ周波数。 \[ \omega_c = \frac{1}{\tau} \]
抵抗値が温度にほぼ線形に比例: \[ R(T) \approx R_0 (1 + \alpha T) \] ここで \(\alpha\) は温度係数(例:Pt で約 \(0.00385/\mathrm{^\circ C}\))。
NTC(負の温度係数): \[ R(T) = R_0 \exp\left[B\left(\frac{1}{T} - \frac{1}{T_0}\right)\right] \] 低温〜中温で高感度だが、非線形性が強い。
抵抗変化とひずみの関係: \[ \frac{\Delta R}{R} = K \varepsilon \] \(\varepsilon\):ひずみ、\(K\):ゲージ率。
ロードセルでは、ゲージをブリッジ接続して微小差電圧を取り出す。
工業計測用の標準インターフェイス。
受信側では、例えば 250 Ω の抵抗で電圧に変換: \[ V = I \times 250\ \Omega \] 4–20 mA → 1–5 V に変換でき、そのまま ADC へ。
コンデンサの静電容量: \[ C = \varepsilon \frac{S}{d} \]
力・加速度 → 電荷に変換: \[ Q = d \cdot F \] 出力インピーダンスが非常に高いため、 電荷アンプ・FET 入力アンプが必要。
出力電流をトランスインピーダンスアンプ(TIA)で電圧に変換: \[ V_{\mathrm{out}} = - I_{\mathrm{ph}} R_f \]
電流を流したときの電圧変化・抵抗変化で磁界を検出し、 位置・回転・電流検出などに応用される。
電子回路との関係が深いものだけ簡単に触れる:
酸化還元反応で電流・電圧が発生。 電流出力をシャント抵抗+アンプで電圧化して測定。
pH に応じた起電力が発生するが、内部抵抗が非常に高いので FET 入力の高インピーダンスアンプが必要。
容量変化・抵抗変化を利用したものが多く、 AFE 回路は容量計測・抵抗計測として設計する。
ひずみゲージ・ロードセル・圧力センサなどで定番の構成:
光センサなどの電流出力を電圧に変換。 \[ V_{\mathrm{out}} = - I_{\mathrm{in}} R_f \] 入力容量との組み合わせでノイズ帯域を制御する。
AC 励振をかけ、ブリッジ法やロックインアンプで微小変化を検出する手法もある。 (詳細は高級計測回路のテーマに譲る)