高校数学 数学A 場合の数と確率
1. 場合の数の基本:集合・要素・全事象
(1) 集合と言葉の整理
- 集合:対象をひとまとめにしたもの。
- 要素:集合を構成する1つ1つ。
- 全事象(全体集合):考えられるすべての結果。
- 事象:注目する結果の集まり。
(2) 排反・包含
- 排反事象:同時に起こらない事象。
- 包含関係:事象Aが事象Bを含むこと。
(3) 樹形図と表の利用
複雑な組み合わせの結果を整理するための基本ツール。
2. 順列(並べ方)
(1) 順列の定義
異なる \(n\) 個を並べる方法の総数
\[
n! = n(n-1)(n-2)\cdots 1
\]
(2) 部分順列
\(n\) 個から異なる \(r\) 個を取り出して並べる方法
\[
{}_nP_r = n(n-1)(n-2)\cdots(n-r+1)
\]
(3) 代表例
- 3人を並べる → \(3! = 6\)
- 5人から3人を選んで並べる → \({}_5P_3 = 60\)
3. 組合せ(選び方)
(1) 組合せの定義
\(n\) 個から順序を考えずに \(r\) 個選ぶ方法
\[
{}_nC_r = \frac{{
}_nP_r}{r!} = \frac{n!}{r!(n-r)!}
\]
(2) 性質
-
対称性:
\[
{}_nC_r = {}_nC_{n-r}
\]
-
パスカルの関係:
\[
{}_nC_r = {}_{n-1}C_{r-1} + {}_{n-1}C_r
\]
(3) 代表例
- 5人から2人を選ぶ → \({}_5C_2 = 10\)
4. 場合の数の代表的な考え方
(1) 積の法則(そして)
A の後に B の選び方がある →
\[
(\text{A の数})\times(\text{B の数})
\]
(2) 和の法則(または)
A または B のどちらかで良い →
\[
(\text{A の数}) + (\text{B の数})
\]
(3) 場合分け
排反になるように分けて合計する。
(4) 重複のない並べ方・選び方
特に制限条件があるときは、まず「自由に並べる/選ぶ」を考えてから条件に合わせて調整する。
5. 確率の定義と基本性質
(1) 確率の定義(高校Aの基本形)
全事象が等確率で起こるとき、事象Aの確率は
\[
P(A) = \frac{\text{A の起こる場合の数
}}{\text{全体の場合の数}}
\]
(2) 基本性質
- \(0 \le P(A) \le 1\)
- \(P(\text{全事象}) = 1\)
- 起こり得ない事象:\(P=0\)\
(3) 余事象(補集合)
A の補集合を \(A^c\) とすると
\[
P(A) + P(A^c) = 1
\]
→「少なくとも〜」の問題で非常に有効。
6. 和事象と積事象
(1) 同時に起こらない(排反)場合
事象 A と B が同時に起こらないとき
\[
P(A\cup B) = P(A) + P(B)
]
(2) 一般の場合
\[
P(A\cup B) = P(A) + P(B) - P(A\cap B)
\]
(3) A と B が同時に起こる確率
それぞれの条件に合う数を直接数えるのが基本(高校Aでは独立の考え方は扱わない)。
7. 条件つき場合分けと確率
(1) 場合分けしないと数えられない問題
例:
サイコロを2回振って「和が偶数」。
→ 和が偶数になる条件:
・偶+偶
・奇+奇
の2つのケースに分けて数える。
(2) 過不足のある計算に注意
A または B のとき:
A と B の両方を含む部分を 2 回数えることに注意。
8. 代表的な確率の問題形式
(1) サイコロ・カードの確率
- 出目の条件(偶数、倍数など)
- 2個・3個のサイコロの和・積
- トランプからの取り出し
(2) 並べ方と確率
- ランダムに並べたとき特定の順番になる確率
- 異なる色玉の並びの確率
(3) 袋からの取り出し(区別あり/なし)
(4) 余事象を使った問題
-
「少なくとも1回成功」は
\[
1 - (\text{全部失敗})
\]
を使うと速い。
9. 期待値(発展:高校A範囲)
(1) 期待値の定義
高校Aでは簡単な離散型のみ扱う。
結果 \(x_i\) が確率 \(p_i\) で起こるとき
\[
E = x_1p_1 + x_2p_2 + \cdots
\]
(2) 代表例
サイコロの出目の期待値:
\[
E = \frac{1+2+3+4+5+6}{6} = 3.5
\]
(3) 利用場面
10. 場合の数と確率でよく出る問題の型
- 樹形図で丁寧に数える問題
- 順列・組合せで一気に数える問題
- 条件つきの並び(隣り合わない・固定する など)
- 「または」で和の法則、「そして」で積の法則
- 余事象を使う問題(少なくとも1つ)
- カード・サイコロ・玉の取り出し問題
- 道順(格子点)を数える問題(\({}_nC_r\) を使う)