特殊相対性理論は、等速運動する慣性系において成り立つ力学と電磁気学 を 再定式化した理論であり、以下の 2 つの公理(原理)に基づく:
すべての慣性系において、物理法則の形は同じである。
真空中の光の速度 \(c\) は、光源や観測者の運動状態によらず一定である。
これらから、ガリレイ変換に代わる ローレンツ変換 が導かれ、 時間と空間が 4 次元時空として統一的に扱われる。
特殊相対論では「起こった出来事」を 事象 と呼び、 慣性系 S の時空座標で \[ (ct, x, y, z) \] と表す。
ある粒子にくっついた座標系(粒子の静止系)で測った時間を固有時 \(\tau\) と呼び、 ミンコフスキー計量 \[ ds^2 = c^2 dt^2 - dx^2 - dy^2 - dz^2 \] を用いて \[ d\tau = \frac{1}{c}\sqrt{ds^2} = \sqrt{dt^2 - \frac{1}{c^2}(dx^2+dy^2+dz^2)} \] と定義される(粒子の世界線に沿った時の指標)。
慣性系 S と、x 軸方向に速度 \(v\) で動く慣性系 S' の間の変換: \[ \gamma = \frac{1}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}} \] として \[ ct' = \gamma\left(ct - \frac{v}{c}x\right), \quad x' = \gamma\left(x - vt\right), \] \[ y' = y,\quad z' = z. \]
2 つの慣性系 S, S' の間で \[ ds^2 = c^2 dt^2 - dx^2 - dy^2 - dz^2 \] は不変(ローレンツ不変量)。
ある慣性系で同時な 2 つの事象(\(\Delta t = 0\))は、 一般には他の慣性系で同時ではない(\(\Delta t' \ne 0\))。
物体とともに動く時計で測った固有時間 \(\Delta \tau\) に対し、 その物体が速度 \(v\) で動いている慣性系から見た時間間隔は \[ \Delta t = \gamma\,\Delta \tau. \] 高速で運動する時計は、静止している時計より遅く進む。
物体の静止系での長さを \(L_0\) とすると、 速度 \(v\) で運動する系から見た長さは \[ L = \frac{L_0}{\gamma}. \] 運動方向に沿って長さが縮む。
S 系で物体の速度が \(u\)、S' 系が S に対して速度 \(v\) で運動しているとき、 S' から見た物体の速度 \(u'\) は \[ u' = \frac{u - v}{1 - \frac{uv}{c^2}}. \]
\(u = c\) を代入すると \[ u' = c \] となり、光速度はどの慣性系でも \(c\) のままである。
任意の有限の \(u, v < c\) について \[ |u'| < c \] となり、物質の速度が光速を超えることはない。
\[ x^\mu = (ct, x, y, z) \] を 4 次元時空のベクトルとみなす(\(\mu=0,1,2,3\))。
計量テンソル \[ \eta_{\mu\nu} = \mathrm{diag}(1, -1, -1, -1) \] を用いて \[ ds^2 = \eta_{\mu\nu} x^\mu x^\nu. \]
固有時 \(\tau\) を用いて \[ U^\mu = \frac{dx^\mu}{d\tau}, \] \[ A^\mu = \frac{dU^\mu}{d\tau}. \] 四元速度は常に \[ U^\mu U_\mu = c^2 \] を満たす。
質量 \(m\)、速度 \(\mathbf{v}\) の粒子の運動量: \[ \mathbf{p} = \gamma m \mathbf{v}, \quad \gamma = \frac{1}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}. \]
相対論的エネルギー: \[ E = \gamma mc^2. \] 静止しているときのエネルギー: \[ E_0 = mc^2 \] が有名な質量とエネルギーの等価式。
\[ E^2 = (pc)^2 + (mc^2)^2. \] 質量 0(光子など)の場合は \[ E = pc. \]
\[ P^\mu = \left(\frac{E}{c}, \mathbf{p}\right) \] と書くと \[ P^\mu P_\mu = \left(\frac{E}{c}\right)^2 - \mathbf{p}^2 = m^2 c^2 \] がローレンツ不変量となる。
相対論的運動量を用いると \[ \frac{d\mathbf{p}}{dt} = \mathbf{F} \] が力学の基本方程式となる。
速度と平行な力の効果は、非相対論的な場合とは異なり、 「見かけの質量」が変化するように現れる。 加速にはますます大きな力が必要になり、光速には到達できない。
\[ E = \gamma mc^2 = mc^2 + \frac{1}{2}mv^2 + \mathcal{O}\left(\frac{v^4}{c^2}\right), \] よって古典的な運動エネルギー \(\frac12 mv^2\) が低速極限として現れる。
光源と観測者が相対速度 \(v\) で近づく場合の観測周波数: \[ \nu_{\text{obs}} = \nu_{\text{src}} \sqrt{\frac{1+\beta}{1-\beta}}, \quad \beta = \frac{v}{c}. \]
物体の見かけの方向が、観測者の運動のために変わる現象。 ローレンツ変換を用いて、入射光の 4 元波数ベクトルを変換することで導かれる。
電場 \(\mathbf{E}\)、磁場 \(\mathbf{B}\) は 一つの 2 階反対称テンソル \(F^{\mu\nu}\) にまとめられる。
異なる慣性系では \(\mathbf{E}\) と \(\mathbf{B}\) が混ざり合って変換される。 例:ある系で純粋な電場だけがある場合、別の系では電場と磁場が同時に存在する。
Maxwell 方程式は 4 元表記により \[ \partial_\mu F^{\mu\nu} = \mu_0 J^\nu, \quad \partial_{[\lambda}F_{\mu\nu]} = 0 \] のようにローレンツ共変な形で書ける。
一方の双子が高速宇宙船で往復旅行をし、もう一方が地球に留まるとき、 帰還した宇宙飛行士の方が若い、という有名な思考実験。