固体物理学は、固体中の原子・電子の配置と運動に基づいて、 電気伝導・熱伝導・磁性・光学特性などの物性を統一的に理解する学問である。
キッテル(Kittel)の教科書構成に沿って、以下で内容を整理する。
空間を平行移動で埋め尽くせる格子。 三次元では 7 つの結晶系 × 特殊点で 14 種。
結晶構造 = 格子 + 基底(複数の原子を付加)。
fcc / hcp の充填率: \[ \text{APF} = \frac{\pi}{3\sqrt{2}} \approx 0.74. \]
実空間格子ベクトル \(\mathbf{a}_1,\mathbf{a}_2,\mathbf{a}_3\) に対し、 逆格子は \[ \mathbf{b}_1 = 2\pi\frac{\mathbf{a}_2\times\mathbf{a}_3}{\mathbf{a}_1\cdot(\mathbf{a}_2\times\mathbf{a}_3)} \] などで定義される。
散乱ベクトルを \(\mathbf{G}\) とすると、 Laue の条件: \[ \mathbf{k}' - \mathbf{k} = \mathbf{G}. \] 等価に Bragg の条件: \[ 2d\sin\theta = n\lambda. \]
回折強度に重要: \[ F(\mathbf{G}) = \sum_j f_j e^{-i\mathbf{G}\cdot\mathbf{r}_j}, \] \(f_j\): 原子散乱因子。
一次元格子の振動の分散関係 \[ \omega(k) = 2\sqrt{\frac{K}{M}}\left|\sin\frac{ka}{2}\right|, \] 音波モード(アコースティック分枝)が生じる。
質量 \(M_1,M_2\) の 2 原子格子では アコースティック/オプティカル分枝が生じる。
調和近似で量子化した準粒子をフォノンと呼ぶ: \[ E = \left(n+\frac{1}{2}\right)\hbar\omega. \]
全原子が同一振動数 \(\omega_E\) で振動すると仮定。 高温では \[ C_V \to 3Nk_B \] を再現するが、低温の \(T^3\) 挙動は再現できない。
音波モードを連続的に考慮すると \[ C_V \propto T^3 \] (低温のデバイの \(T^3\) 法則)。
電子はフェルミ粒子であり、占有確率は \[ f(E) = \frac{1}{e^{(E-\mu)/k_BT}+1}. \]
\(T=0\) で占有される最高エネルギー: \[ E_F = \frac{\hbar^2}{2m}(3\pi^2 n)^{2/3}. \]
電子比熱は \[ C_e \propto T. \]
周期ポテンシャル中の電子の固有関数は \[ \psi_{n\mathbf{k}}(\mathbf{r}) = e^{i\mathbf{k}\cdot\mathbf{r}} u_{n\mathbf{k}}(\mathbf{r}), \] ここで \(u\) は格子周期を持つ。
禁制帯(バンドギャップ)は、 絶縁体・半導体・金属の区別を生む基本構造である。
バンドの曲率から電子の有効質量 \[ \frac{1}{m^*} = \frac{1}{\hbar^2}\frac{d^2E}{dk^2}. \]
価電子帯から電子が励起されると電子と正孔が生じる。
\[ n_i = \sqrt{N_c N_v} e^{-E_g/2k_BT}. \]
p-n 接合では内蔵電位が形成され、整流作用を持つ。
\[ \mathbf{J} = ne\mu \mathbf{E} \] (\(\mu\):移動度)
\[ \mathbf{J} = -eD \nabla n. \]
衝突項を含む分布関数 \(f(\mathbf{k},t)\) の運動方程式。
\[ \chi \propto \frac{1}{T}. \]
フェルミ気体によるスピンの寄与。
\[ H = -\sum_{i,j} J_{ij}\mathbf{S}_i\cdot\mathbf{S}_j \] \(J>0\):強磁性、 \(J<0\):反強磁性。
超伝導体は磁場を完全に排除する。
電子対(クーパー対)が凝縮することでギャップが生じる: \[ \Delta = 2\hbar\omega_D e^{-1/N(0)V}. \]
\[ E = \sqrt{\xi_k^2 + \Delta^2}. \]
Hubbard モデル: \[ H = -t \sum_{\langle i,j\rangle,\sigma} c^\dagger_{i\sigma} c_{j\sigma} + U\sum_i n_{i\uparrow}n_{i\downarrow}. \]
強相関により、バンド理論では金属と予測される物質が絶縁体となる(Mott 絶縁体)。