光速 \(c\) を一定とする原理と相対性原理から、時空は \[ ds^2 = -c^2 dt^2 + dx^2 + dy^2 + dz^2 \] という計量をもつ 4 次元の「ミンコフスキー時空」として記述される。
時空間における物体の軌跡を世界線と呼ぶ。
その上の 2 点間の「時空間間隔」から固有時 \(\tau\) が定義される:
(符号系 \(-,+,+,+\) の場合)
\[
d\tau = \frac{1}{c}\sqrt{-ds^2}
= \sqrt{dt^2 - \frac{1}{c^2}(dx^2+dy^2+dz^2)}.
\]
座標を \(x^\mu = (ct, x, y, z)\) と書き、 4元速度を \[ u^\mu = \frac{dx^\mu}{d\tau} \] と定義すると、 \[ \eta_{\mu\nu} u^\mu u^\nu = -c^2 \] となる(\(\eta_{\mu\nu}\):ミンコフスキー計量)。
「重力質量」と「慣性質量」が等しいことから、 局所的には重力場は加速度系と区別できない。 これがアインシュタインの等価原理である。
一般相対論では、重力は「力」ではなく時空の曲がりとして理解される。 物体は曲がった時空の「まっすぐな線」(測地線)に沿って自由落下する。
物理法則は任意の座標変換に対して同じ形を保つ(テンソル方程式で書かれる)という原理。
一般の時空では、線要素は \[ ds^2 = g_{\mu\nu}(x)\,dx^\mu dx^\nu \] で表される。 \(g_{\mu\nu}\) は計量テンソルと呼ばれ、時空の幾何を決める基本量である。
テンソル成分の添字は計量を用いて上げ下げする: \[ V_\mu = g_{\mu\nu} V^\nu, \qquad V^\mu = g^{\mu\nu} V_\nu, \] ここで \(g^{\mu\nu}\) は \[ g^{\mu\alpha}g_{\alpha\nu} = \delta^\mu_\nu \] を満たす逆計量である。
\(ds^2=0\) の曲線は光が進む軌跡であり、局所的な「光円錐」を決める。 時空の曲がりは光円錐の向き・開き方を変化させる。
曲がった空間では、単なる偏微分 \(\partial_\mu\) はテンソル性を保たない。 そこで 共変微分 \(\nabla_\mu\) を導入する。
ベクトル \(V^\nu\) の共変微分は \[ \nabla_\mu V^\nu = \partial_\mu V^\nu + \Gamma^\nu_{\mu\lambda} V^\lambda \] のように定義される。 \(\Gamma^\lambda_{\mu\nu}\) はクリストッフェル記号であり、計量から \[ \Gamma^\lambda_{\mu\nu} = \frac{1}{2} g^{\lambda\rho} \left( \partial_\mu g_{\nu\rho} + \partial_\nu g_{\mu\rho} - \partial_\rho g_{\mu\nu} \right) \] で求められる(レヴィ–チヴィタ接続)。
レヴィ–チヴィタ接続では \[ \nabla_\lambda g_{\mu\nu} = 0 \] が成り立ち、長さや角度が一貫した形で定義される。
一般相対論では、自由落下する粒子は 「固有時が極大(または極値)となる世界線」に沿って運動する。
座標 \(x^\mu(\lambda)\) をパラメータ \(\lambda\) で表すと、 測地線方程式は \[ \frac{d^2 x^\mu}{d\lambda^2} + \Gamma^\mu_{\nu\rho} \frac{dx^\nu}{d\lambda} \frac{dx^\rho}{d\lambda} = 0 \] となる。 \(\lambda\) として固有時 \(\tau\) を選べば、これは自由落下運動を表す。
弱い重力・低速の極限では、この式から ニュートンの万有引力の運動方程式が再現される。
ベクトルを微小な「平行移動のループ」で運んだときのずれが 時空の曲率を定める。 その成分がリーマン曲率テンソル \[ R^\rho_{\ \sigma\mu\nu} = \partial_\mu \Gamma^\rho_{\nu\sigma} - \partial_\nu \Gamma^\rho_{\mu\sigma} + \Gamma^\rho_{\mu\lambda} \Gamma^\lambda_{\nu\sigma} - \Gamma^\rho_{\nu\lambda} \Gamma^\lambda_{\mu\sigma}. \]
リーマンテンソルの縮約として \[ R_{\mu\nu} = R^\rho_{\ \mu\rho\nu} \] をRicci テンソル、さらに \[ R = g^{\mu\nu} R_{\mu\nu} \] をスカラー曲率と呼ぶ。
一般相対論の方程式に現れる組み合わせ \[ G_{\mu\nu} = R_{\mu\nu} - \frac{1}{2}g_{\mu\nu}R \] をアインシュタインテンソルという。 これは \(\nabla^\mu G_{\mu\nu}=0\) を満たす。
一般相対論の中心方程式は \[ G_{\mu\nu} + \Lambda g_{\mu\nu} = \frac{8\pi G}{c^4} T_{\mu\nu}, \] ここで
物質・場のエネルギー密度・運動量・応力をまとめたテンソル。 理想流体なら \[ T^{\mu\nu} = (\rho c^2 + p) u^\mu u^\nu + p g^{\mu\nu} \] となる(\(\rho\):質量密度、\(p\):圧力)。
\(\nabla_\mu T^{\mu\nu} = 0\) はエネルギー・運動量保存則に対応する。
球対称・静的・真空( \(T_{\mu\nu}=0\) )の解は シュヴァルツシルト解であり、 \[ ds^2 = -\left(1 - \frac{2GM}{c^2 r}\right)c^2 dt^2 + \left(1 - \frac{2GM}{c^2 r}\right)^{-1} dr^2 + r^2 (d\theta^2 + \sin^2\theta\,d\phi^2). \]
\[ r_s = \frac{2GM}{c^2} \] をシュヴァルツシルト半径と呼び、 \(r = r_s\) で事象の地平面(光さえ脱出できない境界)が現れる。
規模の大きな宇宙は一様・等方とみなされ、 FLRW 計量で表される: \[ ds^2 = -c^2 dt^2 + a^2(t) \left[ \frac{dr^2}{1-kr^2} + r^2(d\theta^2 + \sin^2\theta\,d\phi^2) \right]. \] ここで \(a(t)\):スケール因子、\(k=0,\pm1\):空間曲率。
FLRW 計量と理想流体のエネルギー・運動量テンソルを代入すると、 宇宙膨張を支配するフリードマン方程式が得られる: \[ \left(\frac{\dot{a}}{a}\right)^2 = \frac{8\pi G}{3}\rho - \frac{kc^2}{a^2} + \frac{\Lambda c^2}{3}. \]
ハッブル定数 \(H_0\)、宇宙年齢、暗黒物質・暗黒エネルギーの割合などは この方程式の解と観測を比較することで推定される。
弱い重力場では、 \[ g_{\mu\nu} = \eta_{\mu\nu} + h_{\mu\nu}, \quad |h_{\mu\nu}| \ll 1 \] として線形化できる。 真空中では \[ \Box h_{\mu\nu}^{\mathrm{TT}} = 0 \] を満たす波動方程式が現れ、これが重力波である。
重力波は電磁波のような双極子放射ではなく、 主に四重極モーメントの時間変化から放射される: \[ h_{ij} \sim \frac{2G}{c^4 R}\, \frac{d^2 Q_{ij}}{dt^2}. \]
LIGO / Virgo などによりブラックホール・中性子星連星合体の重力波が観測され、 一般相対論の検証と新しい「重力波天文学」が始まっている。
互いに近い 2 本の自由落下世界線のずれ \(\xi^\mu\) は \[ \frac{D^2 \xi^\mu}{D\tau^2} = - R^\mu_{\ \nu\rho\sigma} u^\nu u^\rho \xi^\sigma \] に従う(\(u^\mu\):4元速度)。 これが測地線偏差方程式であり、リーマン曲率が相対加速度を生むことを示す。
ニュートン重力の「潮汐力」は、一般相対論では リーマン曲率テンソルによる世界線の収束・発散として理解される。